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ザ・スーパー・ポップ宣言

ZOUK 華麗なる世界

ZOUK その華麗なる世界

ZOUK(ズーク)とは、80年代にその全盛を迎えたカリブ海のジャマイカにもほど近い、フランス領マルチニーク島とかグァドループ島とかその辺りの島を中心に発生した音楽です。フレンチカリブとか言われることもあります。レゲエよりも歴史は浅いと思います。日本ではマラヴォワとかカッサブとかが有名です。80年代後半に日本でも少しブームになりましたね。華やかで素晴らしいグルーブを持ったこの音楽ですが、現在日本ではあまりにも認知度が低いように思われます。そこでZOUKの魅力を日本に少しでも広めるためにもページを作ってみようと思った訳です。

ZOUK
↑画像はWAVEが作成したZOUKを含むカリブ音楽の案内紙

ZOUKOLLECTION VOL.1 80年代後半? (HIBISCUS RECORDS 687004)

ZOUKOLLECTION1

上のWAVE製案内紙の裏側で真っ先に取り上げられていたのがこのズークのコンピだ。これが私のズーク初体験でもあった。フランス製でハイビスカスレコーズというところから出ている。この「ハイビスカス」という花の名前が象徴するような華麗で鮮やかな音世界が展開されている。MALAVOIの憂いを帯びてきれいなCARESSE MOI、JOCELYNE BEROARDのメロディアスで美しいKOLE SEREなどはズークの定番曲だ。他にも下記の曲をはじめ収録10曲の密度は濃くオススメの一枚だ。

RAFT / YAKA DANSE '87 はちょっとレゲエタッチで明るく乾いた空気を持つ名曲だ。テンポは遅めだがキャッチーなメロディを持ち地元(どこだ?)では相当なヒットをしたと推測できる。軽やかに転がる木琴(ヴァイブ?)の音色は海辺の波間で遊ぶ小生物を思わせて和ませてくれる。初めてズークに接したいレゲエファンにはうってつけの名曲だ。JAMAICAとその周辺国とのクロスオーバーな雰囲気を味わえる。

http://www.youtube.com/watch?v=yQ9IprKAbC0

CD版とは若干違い、いまいち音の拡がりが感じられないですが、おおよその雰囲気は伝わると思います。でもこのPV見たらマイナスイメージかなあ。

ZAZA / ZAZA '89「THE BEST OF ZAZA (HIBISCUS HR88022)」収録

ZAZA.jpg

明るくハイテンポなリズムにのって男性コーラスと女性コーラスの掛け合いが実に楽しい、メリハリの効いたダンサーで私の大好きな曲だ。笛の音、パーカッションなども入り乱れてお祭り気分に浸れる。踊るにも最適なズークだろう。このハイテンポなグルーヴはアフリカから脈々と受け継いだものなのだろう。あるいはソカ/カリプソとかね。それとも周辺にもこのようなグルーヴを持った未知なる島の未知なる音楽があるのだろうか?

明るく元気テンション高揚感疾走感グルーブメロディ器楽瑞々しさボーナス(お祭りダンサー)ポップ偏差値合計
9108109686571


ZOUKOLLECTION VOL.2 (HIBISCUS 88014)'88

ZOUKOLECTION2

MADJUMBE / EVANESCENCE

MADJUMBEの方がアーチスト名。女性ヴォーカルのボサノヴァ風味のジャジーで軽いタッチの曲。ボサノヴァの中にはこれ以上の水準のものも数多いが、フレンチカリブということでこの曲の持つ空気の乾き方や明るさはちょっと面白いかなと思います。こんな和める曲の流れる南国の小島では時間の流れも違ってきそう。ヴァカンスにはうってつけの小洒落たリゾートミュージック。

ZOUKOLLECTION VOL.3 (HIBISCUS 88033)'88?

PA120002.JPG

ERIC VIRGAL / SUBLIME

カリブの明るく熱い太陽の陽射しをたっぷり受け、甘ーく熟成した色鮮やかな南国の果物がたわわに実り、空気はカラッカラに乾き澄んで美味しく、空は抜けるように青く深い。この曲を聴くとそんな鮮やかなカリブの色彩が目の前に拡がるようだ。バラード系のズークミュージックの中でもこの曲はこのうえなく優雅で華麗で豊かに熟成された香りを持つ。バラードというと「べっちょりと締りが無い」バックになりがちだが、この曲のバックは見事に生命感溢れ、タイトで生き生きとしている。最高のズークラブだ。(*ズークミュージックではバラード、ラブソングなどをズークラブと呼びます。)

Freem / Metro-coco '89

ズークものは、極端に日本に愛好者が少なく情報もほとんど無いから、良曲に出会うのも至難の技。ブログでも未だ誰一人としてコメントしてくれた事ないという、超お寒い事態(笑)。たまにオークションに欲しいズークものが出品されても、ほとんど競り合うこと無く開始値のまま落札出来てしまうのも寂し過ぎ。

先日「MEGA ZOUK」('95)なる4枚組みCDを見つけて入手したんだけど、ほとんど良曲に出会えなくてがっかり。いろいろコンピを聞いたりして経験的に分かってきたことだけど、どうやらズークの全盛期は80年代中期から90年代前半ぐらいまでって感じで、残念ながら既に終わってしまった音楽のようですね。

この曲はダンサー系ズークものとしては、かなりのスピード感を感じさせる内容。生きのいい魚のようにピチピチしたシンセ音、元気で切れの良い掛け声、弾けるホーン、ヴィブラフォーンの音色も極めて速く美しい。複雑に絡み合うベースとギターの織り成すグルーヴも極上だし、パーカッション類の味付けもピリリと効いています。全体として明るく元気で、乾いた空気感と共に南国の熱い息吹を感じさせる素晴らしいダンサー。こういうグルーヴを持った曲をもっともっと知りたいんだけど、どなたか教えてくれないですかねえ。カリブというよりはアフリカに近いリズムかもしれないけど、アフリカものなんて更に知らないからなあ。

「dailymotion」で聴けます。まさかこの曲のPVに巡りあえるなんて!解説によると、このFreemは名前をWilly M?nirといい、このM?tro-cocoという曲は、彼の同名アルバム収録曲のようです。因みに検索しても、世界中のどこにも有りません(笑)。ズーク・コンピ「ZOUKOLLECTION VOL.3」にも収録されています。
明るく元気テンション高揚感疾走感グルーヴメロディ器楽瑞々しさボーナス(高速グルーヴ)ズーク偏差値合計
99710106109474


TCHICO TCHICAYA / COCKTAIL TOROPICAL '89

ズークものコンピではお馴染みのHIBISCUS RECORDSからのズーク・コンピ「ZOUKOLLECTION VOL.3」の収録曲。ズーク・コンピ収録なのだから、当然ズークの一種なのだろうと思っていたけどちょっと異質な内容なので調べてみると、このチコ・チカヤという人は1970年から活躍しているアフリカのコンゴ共和国出身のミュージシャン。サウンドにズーク的エッセンスを感じさせるものの基本的にはアフリカン・ミュージックという位置づけの方が近いのかも知れないです。

曲は非常にスピード感とグルーヴ感のある洗練されたダンス・ミュージック。小刻みに、然しながら濃密に弾かれる弦の音色や威勢のいいホーンの使い方にズークっぽさを感じさせます。ただリードの唱法やコーラスの感じは全く異質でこれがアフリカのコンゴ・サウンドって感じなんでしょうかねえ。ちょっと日本人には馴染みのないラインで展開されるサビ・メロディはトロピカルというよりはエキゾチックで実に魅力的です。黒人の持つドス黒いグルーヴは何もアメリカだけのものではなく、むしろここまでダンサブルなものはアメリカ国内では望めないのではないか?とさえ思わせる素晴らしいサウンドです。本気でレアグルーヴを始めるのなら、この辺りも外せないぞ!

「YOU TUBE」で聴けます。
明るく元気テンション高揚感疾走感グルーヴメロディ器楽瑞々しさボーナス(高速グルーヴ)ズーク偏差値合計
9971010788573


LE GRAND MECHANT ZOUK '89 EPIC/SONY 25・8P-5295

MECHANT ZOUK1

このアルバムはKASSAVを中心にズークのオールスターが一同に会したスーパーグループ「LE GRAND MECHANT ZOUK」が88年にパリで行ったライブ録音だ。なんと日本盤が出ていて解説は海老原政彦という人が詳しく書いている。それによるとまず歌詞はフランス語ではなくクリオール語で出身ミュージシャンはカリブのマルチニーク島とグァドループ島に集中している。

ヴォーカルは入れ替わり立ち替わり歌っているのだが、写真に見えるだけでも13人もの楽器演奏者がいるようすだ。コーラス隊を入れると全部で20人ぐらいになるのではないか?それら大人数バンドが奏でる音はとても分厚く、かなり充実したグルーブを感じることが出来る。全体的に明るく楽しくノリノリなサウンドなのだが、そこは黒人系ということでライブならではの迫力が増幅されている。

3曲目のRETEはイントロ後いきなり観客の合唱から始まる感動的なナンバーだ。9曲目のEXILEはおそらくズーク界でもっともヒットしたのでは?と思わせるほど華麗なナンバーだ。フリオイグレシアスのビギンザビギンに似てるけどね(笑)。

LE GRAND MECHANT ZOUK / AYEN PA MOL '89

中でもそれらズークサウンドの頂点と呼べる演奏が聴けるのが11曲目のこの曲だ。明るく軽快なカリブ系イントロ。それに続く歌が複数に分かれたコーラス主体と珍しく、それだけにメリハリがあり飽きさせない。観客の掛け声、ヴォーカルの伸びやかな歌声、ホーンセクション、マラヴォワ風の上品な器楽なども入り混じり、曲が目まぐるしく展開していくのも楽しい。万華鏡のような展開ではあるが基本はノリノリで重厚なカーニバルダンサーで体が動く動く。ズークミュージックの持つ明るさ、楽しさ、グルーヴを思いっきり体感出来る最高のライヴナンバーだ。
明るく元気テンション高揚感疾走感グルーブメロディ器楽瑞々しさボーナス(万華鏡ダンサー)ポップ偏差値合計
999910897575


LE GRAND MECHANT ZOUK / LIVE AU ZENITH '90 CBS 467198-2

MECHANT ZOUK2.jpg

前作から一年、再び会合したズークのスーパースターたちのZENITHでのライブ録音。TANYA SAINT-VAL,RALPF THAMAR,ERIC VIRGAL,JOCELYNE BEROARDなどの有名どころが代わる代わるヴォーカルを務める。前作収録の「AYEN PA MOL」程のカーニバルダンサーは無いが、「WEP」はなかなかのグルーヴで明るくノリが良い。

http://www.youtube.com/watch?v=XFH7r0HJrOk

LE GRAND MECHANT ZOUK / VAGABOND '90

ちょっと大仰なイントロで始まるこの曲は、その甘くメロディアスな旋律が魅力。リラックスしたミディアムテンポにのってヴォーカルは気持ち良さそう。花の楽園マルチニークの鮮やかで優雅な色彩が目に浮かんできそう。最大の聴き所は胸キュンな旋律を甘く抑制を効かせて歌うコーラス部分で感動的で泣かせる。ちょっとだけど最後の方の明るいホーンの響きもいいヨ。こんなのを聴いてると温かい南国のリゾートに行きたくなってしょうがない。

PAULO ALBIN / VAGABOND(ほぼ同内容のライブ映像)

明るく元気テンション高揚感疾走感グルーブメロディ器楽瑞々しさボーナス(抑制コーラス)ポップ偏差値合計
779671088567


GENERATION ZOUK '89 (CARREE 96703)

GENERATION ZOUK

KASSAV,MALAVOI,TANYA ST VAL,EDITH LEFEL,ZOUK MACHINEなどズークを代表するアーチストの有名なヒット曲が入った充実したコンピだ。

SKANDAL / TI BOY

このグループは当時確か日本盤が出ていた。一風変わったアフリカ土着系?のリズムに電子系の音をちりばめた斬新なサウンドを聴かせてくれる。斬新とは言っても主旋律は温かみのあるメロディで、静かに盛り上がるゆるやかなグルーヴがかなり和める。

EXPERIENCE 7 / GOUDJOUA

アップテンポでノリの良い躍動感あふれるリズムに洒落たメロディがのり、きれの良いホーン、効果的な電子パーカッション、体を休ませないリズムギター、思わず一緒に口づさんでしまうコーラスなどが絡み合い、素晴らしいグルーヴを作り上げている。歌もクールでスマートだ。曲の展開も面白くイマジネーション豊かな構成となっている。この構成は白人にはとうてい真似出来ない黒人独特のものだろう。
明るく元気テンション高揚感疾走感グルーブメロディ器楽瑞々しさボーナス(展開の妙)ポップ偏差値合計
7789108108572


PLANETE ZOUK '90 (STE DECLIC 353 967)

PLANETE ZOUK.jpg

他のコンピとの選曲の重複度を考えると、かなりヒット曲中心の選曲がなされている模様。SAKIYO , TANYA SAINT-VAL , MALAVOI , ERIC VIRGAL , EXPERIENCE 7 などの楽曲が良い。ズーク初心者が買うなら一番適した内容だろう。(ZOUK MACHINE / MALDON収録 http://www.youtube.com/watch?v=q1nDuy1cBxI )

TANYA SAINT-VAL / LANMOU KREYOL

かなり和めるシーサイドミュージックといった趣き。基本はズークながらスロウなので初心者の方でも聴き易そう。乾燥感とレイドバック感が素晴らしい。明るくポップというタイプではないけど、リゾートで一泳ぎした後にこれを聴きながら昼寝をしてみたい。

MALAVOI / CASE A LUCIE

カッサブとともに日本では一番有名と思われるマラヴォワの代表曲。ちょっとボサノバ風の軽いタッチの曲でゆったりとしたリズム。明るく乾いた爽やかな空気がいいね。オルガンソロやヴァイオリンソロなどの競演もどこまでも優雅で素晴らしい。

ERIC VIRGAL / PA FE MWEN LA PEN

暗めのトーンながら情感深いメロディと落ち着いた内容はズーク界の良心といった内容か。グレイドは高い。

PHILIPPE LAVIL & JOCELYNE BEROARD / KOLE SERE

明るく美しいメロディを持つバラードタイプの曲。スロウなのでかなり聴きやすいと思う。有名なヒット曲のようでいくつかカバーなども存在したと思う。

RALPH THAMAR / EXILE

ズーク界を代表するシンガーのおそらく最大のヒット曲。おもいっきりフリオイグレシアスのビギンザビギンに雰囲気が似てるので、それ系の優雅で華麗なものを好きな方には堪らない作品でしょう。マイナートーンと明るくハイテンションな部分が交錯するダイナミックな内容で一度聴いたら忘れられないキャッチーなメロディを持つ。メロディも大味で悪く言えば飽きやすいがサビの盛り上がりは高揚感、爽快感、突き抜け具合満点の素晴らしいもの。
明るく元気テンション高揚感疾走感グルーブメロディ器楽瑞々しさボーナス(優雅で華麗)ポップ偏差値合計
89966967464


MALAVOI / SIDONIE '86「LA CASE A LUCIE」収録



ズーク/フレンチ・カリビアンの代表的グループ、マラヴォワの86年のアルバム収録曲。全体に暗い雰囲気が漂い決してポップな内容ではないが、メロディはなかなかキャッチーだし全編を通して力強く連呼される女性コーラスとカリブな黒いサウンドでリズムはグルーヴィー。更にそこにマラヴォワの最大の特徴である叙情的で流麗なヴァイオリンが複雑に絡み、情報量の多い濃いサウンドが展開されています。ヴァイオリンの音色が好きな方なんかにどうでしょうかねえ。

「YOU TUBE」で聴けます。

明るく元気テンション高揚感疾走感グルーヴメロディ器楽瑞々しさボーナス(ヴァイオリン)ポップ偏差値合計
67668797561


MALAVOI / CARESSE MOIN 「LE MEILLEUR DE MALAVOI ('91 日本盤ベスト)」収録

MALAVOI BEST.jpg MALAVOI BEST2.jpg

マラヴォワの代表曲、というよりもズーク・ミュージックの、と言った方が適切かも知れない超有名曲。ZOUKは私の音楽仲間にも全く受けが悪いんだけど、日本人には乾燥感、それと優雅さが過ぎるのかなあ。加えてフランス語風ってのも馴染みにくいのかも知れませんね。ではこの少し湿った、憂いを帯びたメロディを持つ曲ならどうでしょうか。特にここで聴けるヴァイオリンの優雅な響きはフィリー・ソウルのストリングスを好きな方なら受け入れ易そうな気がしますが。

基本はちょっとボサノバ風なリズムに悲しげな女性ヴォーカル。ピアノやストリングスといった多人数編成のサウンドは花の楽園マルチニークの色彩豊かな情景を思い起こさせます。途中ブレイクが入った後の間奏部分の気品溢れるヴァイオリン・ソロはフランス貴族の持つ誇り高さを彷彿させます。加えて黒人/ブラジル音楽圏の持つグルーヴをしっかりと感じさせるところがズーク/フレンチ・カリビアン音楽の魅力ですね。
明るく元気テンション高揚感疾走感グルーブメロディ器楽瑞々しさボーナス(誇り高さ)ポップ偏差値合計
56767897560


RAFT / YAKA DANSE (VERSION LONGUE)'87



私がズーク音楽を初めて知った1990年代初頭はもちろん、当ブログを始めた頃さえズークに関する情報は少なく各アーチストの事もよく分からなかった。最近「ネオアコースティックディスクガイド」を順番に「YOU TUBE」で聴き進めているんだけど、先日いきなり場違いで耳馴染みの音楽が飛び込んできた。それがブログ開設当初に紹介したことのあるズークの有名曲「RAFT / YAKA DANSE」だったんですよね。曲は明るく乾いた空気と開放感が素晴らしいレゲエタッチのズーク・ミュージック。キャッチーなメロディに軽やかに転がるヴァイブ風の音色が心地よい。

「YOU TUBE」にも、PVVERSION LONGUE(お勧め)VERSION REMIXEEスタジオライブ版など様々な音源があげられています。便利な時代になったもんです。因みにRAFTはネオアコ本によると「ラテン・フレイヴァーが持ち味の二人組ユニット」だとか。確かに彼らのヒット曲である「MADAGASCAR」では如何にもズークなギターの音色も聴けるけど、ネオアコに通じる瑞々しさを感じることが出来ますね。
明るく元気テンション高揚感疾走感グルーヴメロディ器楽瑞々しさボーナス(解放感)ズーク偏差値合計
88867898567


(Jean) Paul Albin / Vagabond '89 「Retrouvé」収録



80年代後半から90年代にかけて活躍したマルチニークの歌手、ジャン=ポール・アルビンの1STアルバム「Retrouvé」収録曲。ジャンルとしては当ブログが猛プッシュしているズーク・ミュージックになります。「Le Grand Méchant Zouk」(ズーク・ミュージシャンが一同に会したライブ)でのライブ盤は当ブログ既出ですが、ようやくスタジオ録音盤が聴けたので改めてご紹介。なにせ「Le Grand Méchant Zouk」には歌手名を特定したクレジットがなかったから誰の曲か不明でした。

「放浪者」というタイトルのこの曲は、ポール・アルビン本人のペンによるミディアム・テンポの甘いバラード。肩の力の抜けた優雅な曲調でメロディはAメロ、Bメロ、サビとどこをとってもなだらかで出来が良い。花の楽園マルチニークの鮮やかな色彩が目に浮かんできそう。最大の聴き所は胸キュンな旋律を甘く抑制を効かせて歌うサビのコーラスかな。どこか郷愁を誘うメロディが泣けちゃう。最後の方の明るいホーンの響きもいいネ。こんなのを聴いてると温かい南国のリゾートに行きたくなってしょうがない。

ライブでは大人数なのでスタジオ録音版以上にグルーヴを感じさせ、実際に観衆にも大好評って感じですね。華麗な「Le Grand Méchant Zouk」を是非日本で体験してみたい!と思うけどWEBを検索しても相変わらず国内で誰一人触れてないから絶対無理っぽいのが寂しい限り。この曲のようなズークの優雅な感覚を受け入れる感受性は日本人には足りてないのだろうと思ったり。

「YOU TUBE」で聴けます。

「Le Grand Méchant Zouk」(91年のライブ映像)

「Le Grand Méchant Zouk」(90年のライブ音源)

Freem ek Simon Jurad / Assé Bat Douss '03



ダンサブルなズークの最高峰として「Freem / Metro-coco」は紹介済みだけど、Freemには他にも良質なダンサーが複数あります。今回ご紹介するのは、同じマルチニークのズーク・ギタリストSimon Juradとの共演曲。基本は明るく能天気なズーク・ダンサー。厚めのコーラスやスピード感のあるリズムなどはなかなかのものでカリブ海の熱いグルーヴが堪能できる。そして何といっても特筆すべきなのが後半2分以降から入るサイモン・ジュラッドによる狂乱のギタープレイ。単純明快なギター・フレーズを延々2分間繰り返すだけなんだけど、これがズークのリズムと合わさることで日本人にとっては異世界的な熱いグルーヴが創出されている。この単調だけど魔法のようなギターの魅力に気づいて欲しいですね。

「YOU TUBE」で聴けます。

Freem / Metro-coco(お勧め)

Freem / Soukous Gras Double(お勧め)

FREEM / Le Mal-Euro(お勧め)
明るく元気テンション高揚感疾走感グルーヴメロディサウンド瑞々しさボーナス(ギター)ズーク偏差値合計
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ZOUKの特選プロモ・ビデオ集

LE GRAND.jpg

動画投稿サイト「DAILYMOTION」にDJ_Issssalopという方が懐かしのZOUKのプロモ・ビデオを大量にアップされています。ここではそれらの中で特に私がお勧めのビデオをまとめました。ライブものなどは実際にCDになっている音源と比べて音質が劣るものがほとんどですが、その代わり大人数ならではの楽しさ、熱いグルーヴなど感じられます。特に「Le Grand Mechant Zouk / Ayen pa mol」が素晴らしい!こんなんだったら地球の裏側にまで行ってでも体感したかったですねー。

Eric Virgal - Sublime 1988

Experience 7 - Goudjoua 1987 野外版

Experience 7 - Goudjoua 1987 スタジオ版

Experience 7 - Goudjoua (live) ライブ版 6:20辺りから

Force One - Mi zouk la 1988

Freem - Metro-coco 1989

J.Beroard et J.Desvarieux - Wep 1989

Jocelyne Beroard et Philippe Lavil en 1987

JOCELYNE BEROARD - VINI SéRé ( kassav' )

Le Grand Mechant Zouk - Ayen pa mol 1988

kassav' / ayen pa mol 1987

Le Grand Mechant Zouk - Exil 1988

Le Grand Mechant Zouk - Rete 1988

Le Grand Mechant Zouk - Balanse 1988

Les Aiglons - Ay lopital 1985

Mariejose Alie - Caresse mwen 1989

Pascal Vallot - Balanse 1987

Pascal Vallot - Limbe 1987

PAULO ALBIN / VAGABOND

Ralph Thamar - Sidonie 1988








以下はおまけのコーナーです。ZOUKではありません。




カリプソ/ソカのコーナー

MIGHTY SPARROW / LIVE IN JAPAN '88 (1988年12月11日 インクスティック芝浦ファクトリーにて)

MIGHTY SPARROW LIVE.jpg SPARROW RAINICHI.jpg

媒体1:MD(45:10) ナレーションなど含む
媒体2:CDR(43:01) ナレーションなどを含まない

1.SHAKE FOR CARNIVAL ~ DOCTOR (演奏時間 15:19) (カーニバルダンサー偏差値72)
2.CONGO MAN (6:31)
3.CALYPSO MEDLEY (10:20) (カーニバルダンサー偏差値74)
3-1 ??? IN THE CENTER ???
3-2 ??? ALL DAY ALL NIGHT ... ???
3-3 SLY MONGOOSE
3-4 ハレルヤ (HALLELUJAH)
3-5 聖者の行進 (WHEN THE SAINTS GO MARCHIN' IN)
3-6 FIRE FIRE
3-7 MY PUSSIN'
4.SA SA YEA (MEDLEY) (9:34) (カーニバルダンサー偏差値74)
4-1 Miss Mary
4-2 Jane
4-3 Royal Jail
4-4 Mr. Benwood Dick
4-5 Sa Sa Yea

カリプソの王様、マイティスパロウが88年に来日した時のライブ音源です。ライブ後にFM東京にてオンエアされました。放送時間は約45分。カリプソや彼のヒット曲のメドレーを中心とした内容で、これぞカーニバルダンサーの決定版と断言できる素晴らしく楽しいダンサブルな内容です。私の長年の愛聴音源で、他にももっとスパロウの同様なライブ音源が残されていないものか?と長年探しているのですが、これが探し方が悪いのかなかなか見つからない。そこでこの音源の存在を広く知らしめたいと思いここに記すことにしました。(ご存知の方、どうか教えて下さい。)

スパロウは1935年生まれですから、この88年の時点で53歳ということになります。レゲエやズークなどカリブの音楽が好きだった私はこの時は観にいこうかどうか迷ったのですが、やはりこの年齢を考えるとどれほどのパフォーマンスが期待出来るだろうかと躊躇し、結局は観にいきませんでした。直後にラジオでこの音源を聴いてその素晴らしいパフォーマンスに感動、後々ずーっと後悔することになってしまいました。

何が素晴らしいかと言うと、1,3,4と2以外の全てで聴けるダンサブルなナンバーがどれも凄い。陽気でキャッチーなカリプソメロディに、どれも似たようなワンパターンのカーニバルダンスサウンド。これが体に、腰にグイグイせまってきます。ノレます、踊れます。それが延々35分も様々なメロディとともに楽しめるのですから、この手のカーニバルサウンドファンには堪らない内容でしょう。唯一欠点があるとすればスパロウの歌が後半息切れしてしまうこと。ほとんど歌が聞こえなくなってくる場面もチラホラ。ただ、まあ、こうしたカーニバルダンサーの場合、サウンド、グルーヴを楽しむということがメインとなるのであまり気にならないのですが、やはり欲を言えば、歌声まで最高という内容であって欲しかった。なので長年同様のライブ音源を探しているのですが、、、。

個別の曲ですが、1はメドレーで曲はつながっています。リズムパターンはほとんど同じです。15分で2曲分ですから、たっぷりダンスサウンドを堪能できます。2は凡庸な歌物で残念ながら私が彼に求めるものではない。

3のメドレー3-1はエアチェックミスで曲名不明。「IN THE CENTER」というようなコーラスが聴こえます。3-2も不明で「ALL DAY ALL NIGHT ...」と歌っている感じ。この辺りは1分おきぐらいでどんどんメロディが変っていきます。ハレルヤ、聖者の行進あたりは誰でも知ってるお馴染みのメロディで凄く楽しめます。MY PUSSIN'を一通り歌い終えた後は特に歌詞はなく、バババとかダダダとかスパロウの陽気な発声とバックの演奏だけで延々4分ぐらい、グイグイ盛り上げます。単純だけど素晴らしく熱いグルーヴで感動です。楽しいけれども感動的で泣きながら踊れること必須。ああ、この場面を体験したかったなあ。

4はアルバム「PARTY CLASSICS」収録のメドレーとほぼ同じなのですが、そちらはスタジオ録音版で臨場感、熱気、グルーヴに欠ける内容ですのでお薦めできません。このメドレー部分も明るく陽気でキャッチーなメロディを持つ彼のヒット曲のオンパレードなんですが、かなり息切れしてきているのが残念。しかし、バックの演奏の楽しさ、グルーヴは相変わらずのパターンなのでとてもノリノリです。スパロウも「FIRE! FIRE!」といった雄たけびで盛り上げ、これがまた快感。

この最後の3,4で聴けるメロディは易しく分かりやすいので、どなたでも気軽に楽しめる内容かと思います。それが楽しいノリノリのカーニバルダンサーで楽しめるのですから、カリブの偉大なるエンターテインメントとしか言いようがないです。

残念ながら2007年2月時点で「YOU TUBE」にMIGHTY SPARROWの上記の「CALYPSO MEDLEY」や「SA SA YEH」のようなノリノリのライブ、及び全盛期の映像などお薦め映像は一切アップされていませんが、いつかそれらの映像が拝める日が来ることを夢見て、リンクだけは貼っておくことにしましょう。(いくつか最近の映像が見れますが、出来ればそれらは見ないで下さい。)

http://www.youtube.com/results?search_query=MIGHTY+SPARROW+&search=Search

Mighty Sparrow / 60 MILLION FRENCHMEN '69 「More Sparrow More」



1950年代後半から2000年初頭まで長く活躍した中南米トリニダード・トバゴのカリプソの王様、マイティ・スパロウの1969年のアルバム「More Sparrow More」収録のカリプソ。当ブログでは、最高のカーニバルダンサー MIGHTY SPARROW / LIVE IN JAPAN '88として彼のライブパフォーマンスの楽しさ、素晴らしさを紹介済みです。私は彼の真骨頂は晩年のソカ的なノリノリの踊れるダンサー群と思っていますが、順にアルバムを聴いていたら1969年のアルバムにひっそりと、古き良き時代のカリプソという趣の良曲が収録されていました。(シングルカットはされていないようです。)

「6000万人のフランス人(が間違えるはずがない)」というタイトルの本曲は、フランス人があいさつ代わりにする、いわゆるフレンチキスを恋人たちに奨励するような歌詞で、カリプソには珍しくメロディアスな曲。甘く優しくなだらかでどこか懐かしく郷愁を誘うような雰囲気が素晴らしい。軽やかながらリズミカルでグルーヴィなリズムにのり、ホーンの華やかな響きが平和な南国を感じさせます。スパロウの自由度の高い歌もいいけど、特に間奏で胸がキュンとするようなメインフレーズを奏でるホーンの甘く優しい響きがなんとも幸せな気持ちにさせてくれるのです。全体として如何にも60年代、70年代のカリブの小国の純朴で平和な音楽という感じで味がありますね。後にソカ仕様で再録されていますが、現代的で聴きやすさ、踊りやすさはあるものの純朴な味わいが影を潜めてしまい個人的にはあまりお勧めできません。

「YOU TUBE」で聴けます。

Sixty Million Frenchmen(ソカ仕様)

Lord Creator / Sixty Million Frenchmen
明るく元気テンション高揚感疾走感グルーヴメロディ楽器瑞々しさボーナス(カリプソ)ポップ偏差値合計
76867887562


BARON / SAY SAY '87 「THIS IS SOCA」,「FULL OF FIRE」収録

THIS IS SOCA.jpg baron full of fire.jpg baron very best.jpg

SOCA(ソカ)とは「SOUL CALYPSO」の略語で要はカリプソ・ミュージックにソウルの要素が取り入れられた音楽のことです。この「THIS IS SOCA」というレコードは1枚目が「CALYPSO / DAVID RUDDER WITH CHARLIES ROOTS」、そしてもう1枚が「THE SOCA HITS OF '87 / VARIOUS ARTISTS」となっています。DAVID RUDDERの方も内容的にソカと言ってよく、二枚通してこの頃のソカのヒット曲が沢山つまったお得な内容でオススメです。

そんな中でも私の一番のお薦め曲がバロンによるご機嫌なソカ・ナンバーの「SAY SAY」。ここで聴けるソカ・サウンドは先に取り上げた最高のカーニバルダンサー MIGHTY SPARROW / LIVE IN JAPAN '88とほとんど同じもので、アップテンポでノリノリなカーニバル・サウンド。ドラムとベースでグイグイと盛り上げ、パーカッションで小刻みなリズムを添え、ホーンで華やかさを演出するという典型的なパターン。とっても熱くて厚いサウンドです。

それらに加えてトロピカルなギターがカリブの深く高く青い空に急上昇していくかのような突き抜け感たっぷりのもので素晴らしい。そして一番の聴き所がバロンによるテンションの高い超陽性なヴォーカル・ワーク。雄たけびとも遠吠えとも言える明るい声を随所に散りばめ、その突き抜け具合はギターの音色との相乗効果で弾けまくってます。高気圧に覆われカラリと晴れ渡った南国リゾートに吹く一陣の上昇気流って感じですネ。フゥー!

「YOU TUBE」で聴けます。

↓スティルドラム・バンドによるカバーで、かなりのグルーヴ。

Invaders - Say Say

Baron Discography

明るく元気テンション高揚感疾走感グルーブメロディ器楽瑞々しさボーナス(陽性雄たけび)ポップ偏差値合計
109979689572


GYPSY / SING RAM BAM '87 「WE NEED MORE LOVE」収録

GYPSY WE NEED MORE LOVE.jpg

ソカ(=ソウル・カリプソ)歌手、ジプシーの87年のカーニバル・ダンサー。ごきげんでノリノリなソカのリズムに乗って、水を得た魚のように歌いまくります。その様相はまるで楽器のようですらあり、ヘビメタにおける早弾きギターソロみたいにグイグイと聴く者を引き込んで行くのです。歌詞はほとんど意味を為さない感じだけど、こういうのって単純がゆえに自然と体が反応しちゃいますね。バックのホーンの切れ味も良く、全体に陽性で乾いたカリブの空気を感じさせます。しっかりとリズムを刻むドラム&ベースの重量感も迫力がありますので、出来るだけ大きなスピーカー・システムで楽しんで欲しいですネ。

フリーソウルとかレアグルーヴとかでは全然カリブものって取り上げられないけど、何でかなあ。こんなに良質なダンス・ミュージックなのにね。日本人には明るく陽気すぎるのかな?「YOU TUBE」で聴けます。また、こちらはコンテストか何かでのジプシーのステージ・アクト。
明るく元気テンション高揚感疾走感グルーブメロディ器楽瑞々しさボーナス(ヘビメタ唱法)ポップ偏差値合計
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POMPEY / DOCTOR , DOCTOR '87 「THIS IS SOCA」収録

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ソカのコンピLP「THIS IS SOCA」収録曲。このポンペイなるシンガーだけど、ネットで検索しても、ほとんどこの情報以外でてこない。長年肌身離さず愛聴してきた曲が世間的には全く知られていない存在だというのも奇妙なものである。調べるとどうやらSaint Vincent and the Grenadines(セントビンセントおよびグレナディーン諸島)という人口10万人程度のカリブ海に浮かぶ小さな国のシンガー「RON POMPEY」なる人物で間違いなさそう。「YOU TUBE」で彼のソカが幾つか聴けます。(残念ながらこの曲はアップされていません。)

曲はスピード感のあるソカ・サウンドに乗ったグルーヴィーな曲。リズムは元気一杯だけどメロディは少し憂いを帯びたものでなかなかの出来。高らかに鳴り響くホーンや躍動感を感じさせるシンセ、歯切れの良いコーラスなどで全体的に情報量の多い華やかなサウンドが展開されている。ドラム&ベースのリズムは良くも悪くもソカの黄金のワンパターンだけど、ノリノリな黒く濃いグルーヴは美味で最高としか言い様が無い。それにしても何故これほどのサウンドが日本で市民権を得られないのか理解に苦しむ。お前ら鈍いんちゃう?
明るく元気テンション高揚感疾走感グルーヴメロディ器楽瑞々しさボーナス(歯切れの良さ)ポップ偏差値合計
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